花屋さんにとって最も忙しいイベントのひとつである母の日が終わりました。
新型ウイルスの影響で日本国中に自粛ムードが広がる中でむかえた2020年母の日。
花や資材などの流通が不安定になり、相場が暴落したり高騰したりと例年よりも苦労する面が多かったのではないでしょうか。
皆さんのお店はいかがだったでしょうか。
売上は上がりましたか?それとも?
うちの場合ですが、結論から言いますと前年比プラスで終えることができました。
うちだけでなく、通常通り営業されていた花屋さんは昨対プラスになったお店も多いのではないかと思います。
外出せずに自宅で過ごそう、不要不急の買い物は控えて自宅待機「ステイホーム」が叫ばれている中、なぜ母の日に花の売れ行きがこれほど伸びたのか。
その理由と今後の対策を私なりに考えてみました。
花や植物を自宅で楽しむ傾向
ステイホームの影響からでしょうか、3月頃より自宅用に花や植物を買われるお客様が明らかに増えてきました。
これはうちのお店だけに限らず、多くの花屋さんが実感していたことのようです。
リビングなどに飾る花、玄関に置く観葉植物、ベランダで育てられる家庭菜園の苗などなど。
自宅での過ごし方を考え、工夫する方が増えた結果、癒やし効果のある花や植物に注目が集まったことが理由でしょう。
普段なら忙しくてできなかったことが、時間ができたことで花や植物を飾る・育てる方が増えたのですね。
とはいえ「なんか急に増えたな??」という実感が私にはありました。
この流れの発端はなんなんだろう?
この傾向の元はどこから来たのだろう?と思い、調べてみることにしました。
傾向のはじまりをたどると
欧米などと比べると、日常的に花を飾ったり、贈ったりする習慣があまりない日本ですが、そのような国でなぜこのような流れ(傾向)が起こったのでしょうか。
単なる暇つぶし??
そう思いながら調べていくと、この傾向には明らかな「源」が存在していました。
その源とはSNS。
時間軸で調べてみると、SNSで活動しているインフルエンサーと呼ばれる人たちの中に「室内に花を飾ったり、植物を育てはじめる」といった行動をSNSにアップする人がいました。
つまり、花や植物の需要が増えたのは、インフルエンサーがSNSに「その様子」をアップしたことがきっかけだとわかりました。
インフルエンサーの影響
新型ウイルス感染拡大防止対策として、SNSでは多くの著名人が様々な情報を発信していますね。
自宅待機している人たちに、家にいるときの過ごし方などを公開したりしています。
その中に「自宅で花を楽しむ、植物を育てる」といった様子をアップしているインフルエンサーが複数いました。
多数のフォロワーを持つインフルエンサーが「室内に花を飾る、植物を育てる」ことで、それを見た多くの方が自分も同じような行動をする。そしてその様子を見たフォロワーが追随する
これが自宅に飾る花や植物の消費が増えた理由の一つだと考えていいと私は思います。
海外でも多くの国で自宅待機を余儀なくされていますが、その様子をSNSで発信する流れは普段よりも多く広まっています。
手の洗い方や社会的距離、医療従事者の方への感謝などなど。
そのようなSNSの中に「自宅での過ごし方」が多く出てくるようになります。
また、影響力のあるインフルエンサーと言われる方たちがSNSにアップした動画の中に「おしゃれに飾られた室内の花」が映し出されていました。
このようなことは影響力のあるインフルエンサーに限らず、親しい友人などのSNSからも少なからず影響してきますね。
自粛などからくるストレスの影響で、少しでも癒やされたい、癒やされて過ごしたい、という行動心理が働いたのだと思いました。
母の日に花が売れた理由
その流れは母の日にも引き継がれ、結果として花が売れたのだと考えられます。
ゴールデンウィークに帰省する人は多いですが、今年は自宅待機でかないませんでした。
そのような状況の中、花が売れた要素は次のようなものが起因してたのかもしれません。
- 自宅待機
- 花や植物を楽しむ(SNSの影響が拡散)
- 帰省できない
- 母の日の贈り物
- 休業要請
これらの要素が重なり、GW明けの母の日に贈り物をする人が増えたのではないでしょうか。
ここ数年は母の日ギフトとして花以外の贈り物が増えてきました。ですが、休業要請で多くの業種がお休みだったことも花の需要が増えた要因だったと考えられます。
休業要請の適用外だった花屋さんに注文が集中したという形ですね。
テレワーク需要
感染拡大防止のため、自宅にて仕事を行うテレワークが増えたこともネット注文がさらに集中した要因になっていると思います。
これを書いている今日はまだ12日なので、大手業者から出てくる母の日ビッグデータを知ることはできませんが、今年は例年を大きく上回ることが予想されます。
上述の「花を飾る、植物を育てる」というSNSの流れを引き継ぎ、花や植物に関心を寄せる傾向がより一層強まり、そのままネット通販に流れ込んだのだと思います。
もともと、母の日はカーネーションの花を贈るのが定番でしたから、それが掘り起こされたということでしょう。
注文方法を考察
花の注文方法に変化はあったのでしょうか?
知り合いの方何名かに聞いてみると、皆さん口を揃えて「ネットオーダーが増えた」と言います。
今までは花屋さんに足を運んで選んで注文していた方も、対面でのウイルス感染を恐れてネットから依頼する形にシフトしたのが理由のようです。
ただし、ネット注文だけでなく、来店注文も増えたという結果も出ていて、ここを考えることが今後の花屋運営のために必要なことだと思いました。
WEB経由の主な注文の仕方は、
- ネットオーダー
- 電話注文
- 店頭オーダー
ネットオーダーは、検索やSNSで母の日に贈る花を探し、そのままWEBや電話でオーダーする方。
店頭オーダーは、花屋さんへのルートを検索して実際に来店しオーダーする方。
来店注文が増えた理由としては、営業自粛要請が出ていましたが、花屋は営業しているということで来店して店頭でのオーダーにつながったようです。
また、お母さんへカーネーション一輪といった、店頭でしか買えない少額商品をお求めになるお客様は当然ながら来店になりますね。
ネットショップやSNSを開設し、運営されていた花屋さんはネットと店頭のダブルで受注増したお店が多いと思います。
これだけ需要があった中で売り上げアップしなかったのには必ず原因があります。
今後の対策
普段とは異なる特別な状況下だったため、結果として注文が多すぎて仕入れが足りなかったという花屋さん、発送ボックスが在庫切れで地方発送に対応できなかったという花屋さんも多いと聞きました。
こんなに売れるならもっと仕入れておけばよかった・・・
ただ、勘違いしないでいただきたいのは、仕入れを控えたことは判断ミスだったということでは決してありません。
判断ミスではありませんが、でも、もう少し日頃から情報収集のアンテナを貼っていれば、今回の母の日の売り上げは確実にアップしたと思います。(自戒を込めて)
そこで、花屋の和が提案する今後の対策は次の3つです。
- SNSでの情報収集
- ネットショップの運営
- MEO(来店誘導)
この3つを正しいやり方で準備しておけば、適切な仕入れ予定を組み、売上アップを見込むのは難しいことではないと思います。
でも、単にどれもやれば良いというわけではありません。
現に3つともやっているけど売り上げがアップしなかった花屋さんも多くおられるはずです。
売上アップのために重要なのは「単にやっている」ではなく、「正しいやり方でやる」です。
では、その正しいやり方でどのように行うかについて簡単にご説明します。
SNSのやり方
代表的なものとして、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどがあります。
それぞれ開設して、花やサービスに関連した情報を発信していくこと。はどのお店でも普通にやっていることです。
ここで重要なのは、SNSでリアルタイムに起こっていることを受信する姿勢です。
つまり、アンテナを張るということですね。
今世の中でどんなことが起こっているか、情報の流れを掴むこと、これは発信以上に大切です。
情報を受信する感度を高めておくことで今回のような「花を飾ったり植物を育てたり」するというムーブの発生をいち早く掴むことに繋がります。
そういった情報をつかめるようになると、受注を予測して仕入れを調整したり、売れているものをリアルタイムに発信することが可能になると思います。
今回の流れで言えば「自宅に飾る1、2本の花」「小さな観葉植物」「ベランダでの家庭菜園苗」などの情報をいち早くつかみ、仕入れして売上アップにつなげる、です。
そしてSNSをする上でもう一つ重要なことが、フォローする人の選定です。
誰をフォローしているか、で入ってくる情報の質が大きく変わります。
実はここがとても大事。
自分の好みやインフルエンサーと言われている人を片っ端からフォローしていては、入って来る情報が多すぎて選別も大変だし、消化できないし、追いつけません。
専用の別アカウントを取って情報収集するくらいでもいいと思います。
ネットショップの運営
ネットショップも同じように単に運営しているのではなく「正しいやり方」で運営することが大切です。
正しいやり方とは、大まかに言えば人が集まるネットショップの構成になっていること。
人が集まるからといって大手ショッピングモールや無料ホームページサービスを利用するのはあまりおすすめではありません。
もし利用しているなら他にもECを開設して分散させましょう。
他社運営のサービスにのると基本的に自分で舵を取れないし、売り上げに応じた手数料を取られ続けるだけ。このようなところに依存するのは避けたほうが無難です。
自社運営のオリジナルなネットショップであれば、自分のお店の売りや地域性などに合わせた構成で展開できます。
そのような運営が固定客・リピート客になるファンを増やし、成長し続けるネットショップへの道です。
MEO
そして今回の母の日でも来店誘導でその効果を感じたのがグーグルマイビジネス。
ネットショップを運営していても、いなくても、利用できるのがグーグルマイビジネスです。
グーグルマイビジネスについてこちらの記事を参照して下さい。
花を実際に見て選びたいという方はネットで花屋を探して来店してくれます。
そのような客層向けに最適なのがこのグーグルマイビジネス。
店舗情報の他にネットショップへのリンクも貼れますのでリアルとネットの両面から集客が可能です。
ただ、SNSとネットショップと同じようにこちらも「正しいやり方」で行わないと効果が出ません。
効果を出すための正しいやり方をMEOといいます。
MEOについてはこちらを参照して下さい。
最後に
「ここに花屋さんがあったんですね?!わからなかった!」と、今回の母の日にご来店してくださった方、少なくとも10人以上のお客様から同じようなことを言われました。
駅から徒歩4分にあっても、同じ地域で100年近く花屋をしていても、集客のための施策をあれこれ行っていても、花屋の存在を知らない人のほうが多いという現実。
情報化が進み、お店の存在を消費者に認知してもらうツールは急速に増えました。
でも、花業界に限らずそれらのツールを正しく使えていないお店がまだまだたくさん存在しています。
多くのお店は、今やっていることが正しい方法なのか、そうでないのかもわからずに運営しているのかもしれません。
何度も繰り返しますが、正しい方法でSNSとネットショップ、MEOを行うこと。
この3つを行っておけば、お店の場所や地域といった地理的なデメリットの影響を最小限にすることができます。
情報発信してネットショップに誘導し、宅配で発送or来店誘導で店頭販売。
オフィス街であっても住宅街であっても、最低限3つを行えば集客アップは見込めます。
今回の新型ウイルスの影響で、これまでの生活様式は変わると言われています。
ネット通販の利用が今後はさらに加速することは明らか。
花屋の和がご提案する「リアル販売もネット販売も両方おこなう花屋」になることで、想定外の危機も乗り越えて行く手助けができればいいなと思います。そんな2020年の母の日でした。